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カリキュラム

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地域振興

企業経営戦略コースについて

カリキュラム(科目一覧)

地域振興

単位 2

科目概要

人口減少社会の到来による少子高齢化や経済のグローバル化の進展により、日本の地域構造は大きく変化している。人口動向は、都市部と地方部の地域で二極分化が進んでおり、人口減少地域においては生産年齢人口(若いヒト)が都市部の経済活動が活発な地域へと流出し、地方部の過疎化に歯止めがかからない。
 今日の日本経済は、経済構造再構築とメガコンペティションの時代を迎えており、企業行動、産業政策においても大転換期を迎えている。世界的な経済活動のボーダレス化が進むなか、東アジアをはじめ生産拠点の海外移転など、いわゆる産業空洞化、それに伴い特に地方部の雇用の低下が進んでいる。格差社会の現実は、地方部から都市部へのヒト・モノ・カネ・情報などの一極集中が顕著となっている。また「食」の安全保障を支えるべき第1次産業従事者は減少傾向にあり、加えて高齢者がその半数以上を占めている。消費税増税による日本経済への影響、さらには原発、エネルギー、環境問題、市場の多様化・高度化、労働人口の減少など日本経済が抱える社会的課題は数多い。
 本講義では、地域企業がこのような経済環境に影響を受け、地域経済が疲弊している現状を再確認したうえで、このような転換期に対応するために必要な地域企業のイノベーションを体系的・理論的な幅広い観点から考察を加える。
 地域の自主財源を生み出すためには、「地域内再投資」の循環を活用することが求められる。「地域内再投資」の循環によって、地域におけるネットワークの住民、企業間の人的関係の基盤となる信頼をより強固なものにしながら、経営体験の交流・取引・情報提供と経営資源の共有を通して、さまざまな地域の課題解決の処方箋を導き出すビジネス・モデルのあり方について理解を深める。
 地域企業の経営リーダーは、サーバント・リーダーシップをもって、グローバル化や産業構造の変化等による経済環境の変化のなかにあっても、地域資源等を活用し、「地域」に潜在的に内包されるさまざまな社会的ネットワークや既存経営資源が持つポテンシャルを活かし、「地域リーダー」の育成、収益性をも確保できる優位性を有するコア・コンピタンスの抽出、経営資源の獲得と蓄積、などが必要となり、経営資源の地域還元として地場の関連機能の強化のために再投資される仕組みが必要となる。ここで生まれる好循環によって地域活性化が可能となる地域企業経営の実践事例を紹介しながら理論的に解説する。
 地域経済力の蓄積を豊かにすることによって、地域企業の存立基盤を強化し、グローバル事業継続力も獲得することで地域経済の再生・創造を実現する。すなわち地域経済に貢献しつつ、企業も成長・発展していくことにつなげ、「仕事づくり・人づくり・地域づくり」を支える地域企業経営のあり方を検証し、社員・顧客・産業・地域にとって必要不可欠な「なくてはならない企業」の存立意義を修得する。つまり経営理念を基盤にし、優れた技術や製品、サービスだけではなく、卓越したビジネスを実践し続けることのできる企業の存立要件について理解を深める。