ケース開発
CASE DEVELOPMENT

本プログラムは、基本的に座学+ケーススタディで授業を進めます。
本プログラムの新設4科目(「地域包括ケアと医療経営」「ソーシャルマネジメント」「医療機関事業承継」「医療機関事例研究」)で取り扱うケースの概要は以下のとおりです。

地域包括ケアと医療経営

病診連携をはじめとした各医療関連機関・企業との連携の取り組み

「ケーススタディ:こぶしネット、リビングラボの取り組み」
地域包括ケアシステムのフィールドは「地域での暮らし」である。医療機関はこれまでの患者さんを中心とした診療での連携だけではなく、「暮らし」に視点を置いた連携も必要になってくる。一方、経済産業省が進めるHiHi構想(地域ヘルスケアビジネス・イノベーション・ハイウェイ構想)の中でも、地域主体のヘルスケア産業の創出の第一フェーズでリビングラボの整備促進を掲げている。
価値共創型のマーケティングのフィールドとしてリビングラボに医療機関側が積極的にかかわることで幅広い連携が生まれる。全国で展開されている先行事例を紹介しながら、自分たちのリソースを活用した新しい取り組みを共に考える。ディスカッションでは、リビングラボとしての価値の作り方、異業種間コラボレーションの展開方法などについて議論する。

「こぶしネット」にみる在宅医療連携の取り組み

在宅医療連携を考える会「こぶしネット」は、大阪市東淀川区の高齢者や障がい者の在宅生活を支えるために、地域での在宅医療を通じて医療・介護・行政の連携のありかたを考え、東淀川区の特性を生かした地域包括ケアの推進を目的とする会である。厚生労働省が推進する在宅医療連携拠点事業を淀川キリスト教病院が受託し、平成25年4月より本事業を引き継ぐ形で発足した組織である。会の名前は、区の花であるこぶしに由来している。本会のミッションは、(1)在宅医療を通じて東淀川区の医療と介護と行政の顔の見える連携を考える関係者会議とすること (2)各職種における技量の向上、人材育成を目指すこと (3)地域における社会資源の発掘・活用に取り組むこと (4)東淀川区民に向けて、在宅医療及び介護の啓発活動を行うこと (5)事業を通じて抽出された課題の検討を行い、高齢者が住み慣れた地域で暮らすことができるような街づくりを区に提言すること、を掲げている。活動は、実行委員会を月に1回開催し、5つのワーキンググループで課題を抽出しその解決を図っている。
本会設立時には、急性期病院と地区医師会の協働から始まった在宅医療連携として注目を集めた。本会が発足して3年が経過したが、医療、介護等多職種連携による効率的で質の高い24時間対応の在宅医療提供体制の構築が急務となっている。
本ケースでは、本会の構成員である病院、医師会、区役所のそれぞれの立場から今後の課題を明らかにしているが、その対策についてディスカッションをする。

『みま~も』にみる外部資源を活用した地域包括支援センターの革新

急速に高齢化が進み高齢者が抱える問題が多様化するなかで、地域包括支援センターが介護保険制度の枠組みの中だけで高齢者に個別対応していくだけでは、高齢者が安心して暮らせるまちづくりはできません。そこで、個別対応に追われるだけの状況を打開して、地域住民と地域で働く医療・保健・福祉専門職がつながり合い、高齢者を支え合うシステムづくり、まちづくりが急務となっている。
そこで、今や「医療・保険・福祉の専門職らがその枠を超えて創造するネットワーク』の形を具現化した、地域包括ケア体制の先進事例として多くのメディアで取り上げられるようになった大田区発の地域包括ケアシステム-おおた高齢者見守りネットワーク『みま~も』をケースにとりあげる。
全国にある地域包括支援センターのうち法人委託が約7割を占めている。しかし委託の地域包括支援センターがなかなかネットワーク構築に向かうことができない要因として、センター事業の採算性が低いがゆえに母体法人の理解と協力を得られないことがあげられる。こうした事情から、外部のありとあらゆる「資源」を調達し活用することが必須であり、『みま~も』では、発足当初から、活動に賛同する地域の医療・保険・福祉関係事業所、地域にある企業の協賛金をその運営資金にして活動を展開する。
本ケースでは、外部資源の活用とヒューマンネットワーク構築のノウハウを学ぶ。