ケース開発
CASE DEVELOPMENT

本プログラムは、基本的に座学+ケーススタディで授業を進めます。
本プログラムの新設4科目(「地域包括ケアと医療経営」「ソーシャルマネジメント」「医療機関事業承継」「医療機関事例研究」)で取り扱うケースの概要は以下のとおりです。

医療機関事業承継

親子承継 - 持ち分なし医療法人への移行時代における複数の承継対象者がいる診療所の最適承継を考察する

持ち分なし医療法人への移行が進むなか、在宅医療も手掛ける従業員7名の無床の内科診療所(医療法人)で、院長の子供に複数の医者がいる親子承継のケースをとりあげる。
家族構成は、70歳の院長(父)とその妻、年長の長女(父の診療所で働く常勤内科医)長女の娘婿(内科勤務医で長女とは職場結婚)、長男(大学病院勤務の整形外科医)長男の嫁(元看護師、専業主婦)。役員と出資者は、院長(理事長)、院長の妻(理事)、長女(理事)、長男の嫁(監事)の4人で構成。開業以来「地域のかかりつけ医」として住民の信頼も厚く診療所の業績は安定していたが、近年は業績が下降傾向にある。大学病院で先端医療に携わる長男が事業承継に危機感を抱き家業の経営にについて進言することに。家族全員人間関係は良好であるが、院長の引退後、親子間および子供間同士の良好な関係を第一に考えた上で、院長の相続対策や事業承継後も患者に安心した医療サービスの提供ができる最適な親子承継の方策についてディスカッションする。

他人承継 - 組織が大きくなった医療法人を前に、本意の一般医師に戻るのか 医療経営者として道を進むべきなのか

一人の医師としての原点に戻るのか、組織が成長して本意ではない医療経営者としての道を突き進むべきか 他人承継のあり方を考えるケースをとりあげる。
10年前に、簡単な手術もできるクリニックを目指して整形外科と皮膚科を診察するクリニックを開業。そして開業4年目に介護事業にも乗り出してデイサービスと訪問介護に進出し、開業10年目で従業員86名を抱える医療法人に成長。組織が大きくなるにつれて40代の院長は従業員管理で疲弊する毎日を過ごすようになり、医師としての仕事からいつしか医療経営者という立場に不満を覚えるようになった。そうしたなか、友人医師より日本より待遇の良い主に現地日本人が診察対象の海外の総合病院に勤務医として働かないか?という誘いが来る。医師としての仕事に専念したい院長にとっては好機であり、M&A仲介会社に相談することに。早速、従業員700名を抱える医療グループと、調剤薬局チェーンの2社からオファーがくる。さらに新たに学生時代の友人より、海外で病院経営を学び都内の病院で事務長を経験した医療経営に精通した知人が独立したいということで紹介したいとの話が舞い込み、院長としては会社を売却するのか、知人に経営を任せながら現在のクリニックにとどまるのが良いのか三者択一の事態に。現在の患者への医療サービスの維持と従業員の雇用の保証を総合的に鑑みてどのように意思決定するのが良いかをディスカッションする。

親子承継 - クリニックの多角事業化のなかで院長が急病・引退。事業承継と組織体制の維持が課題に

クリニックをはじめ医療と介護に進出した多角経営の院長が急病で引退することになり、事業承継が喫緊の課題になったケースをとりあげる。
消化器内科の女性医師が無床のクリニック(医療法人)を開業。開業当時から院長が在宅医療に取り組むなか重症難病患者の面倒を見る介護事業に使命を感じるようになり、現在はクリニックをはじめ、訪問看護、訪問介護、訪問リハビリテーション、グループホームの2部門5事業を展開。医療ビジネスの多角化により、院長自身、従業員に対して自分の目の届く医療・介護サービスができなくなることを危惧するなか、院長の高齢化で事業承継時期を迎える。家族構成は、院長、院長の夫(定年間近の大学歯学部教授)、年長の長女(母のクリニックで働く非常勤内科医)、長女の夫(内科勤務医)、長男(クリニック事務長)、長男の妻(クリニック総務担当)。院長は長女にクリニックの承継を検討するも、院長の激務を見て事業承継を固辞。副院長を外部から雇用するも、院長と副院長との間で信頼関係が続かなくなり副院長が退職。そのようななか、院長が急病で伏せることになり状況は一変、やむなく娘が事業を承継する。単純に診療所を承継するだけではなく、医療ビジネスの多角経営のなかで親子そして子供夫婦間の信頼関係を保ちながら事業を継続していく最適な承継スタイルと医療・介護サービスの組織体制の維持についてディスカッションする。

他人承継 - 診療所院長が手掛けたリハビリ訪問介護事業の一般法人への事業譲渡

地域医療を目指して診療所が医療・介護サービスの拡充を図った結果、医療マネジメントの限界に突き当たり介護事業を譲渡することになったケースをとりあげる。
院長が個人で整形外科の診療所を開業しながら在宅医療に力を入れるなかで、訪問先でリハビリのニーズがあることに気づきリハビリ訪問介護ステーションを立ち上げることに。立ち上げ当初から20~30人の患者がいて、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)の報酬に歩合制を導入することにより人員を確保し、設立当初から事業が軌道に乗る。しかし、その後口コミで患者が増え、院長がマネジメントしていくことに限界が生じる。身内では承継の意思はなく、M&A仲介会社を通じて介護法人の譲渡を検討することになるが、事業譲渡にあたって今まで事業拡大に貢献してきた2人のキーパーソンからは意外な反応が。しかし、社内の従業員達で事業承継するための資金確保はできず、リハビリ訪問介護ステーションを譲渡することに。
本ケースでは、どういう選定基準で他社へ介護事業を売却するか?売却先選定のポイントを明確にし、また譲渡後も現在、リハビリ訪問介護ステーションに従事するスタッフと譲渡先とのWIN WINの関係を構築するにはどうすれば良いかをディスカッションする。