本講義は、「経営財務論」もしくは「ファイナンス」で習得した理論をベースに、経営財務の経営学的側面（すなわち財務管理）についてのより高度な専門知識と分析力を修得することを目的としている。株主価値最大化を最終目的とする今日の経営管理において経営戦略の主軸となる財務戦略の立案には、ハイレベルなファイナンス理論の理解が必要である。そこで、本講義では、事業部の資本コストとプロジェクトのハードル・レートの算定、ベータの測定と調整、資本資産価格評価におけるマルチファクター・モデルの有効性の検証、資本割当環境下の投資評価、リアル・オプションによるプロジェクトの再評価、最適資本構成の決定、レバレッジの管理、市場の不完全性のもとでの配当政策／自社株取得、運転資本管理、デリバティブによるリスク・マネジメント、企業評価理論、戦略的Ｍ＆Ａ、といったコーポレート・ファイナンスの各論に関する理解を深めつつ、近年のＣＰＡ論文式試験問題等を用いた演習を通して、理論的並びに実務的な観点から受講者の論理的思考力及び論旨展開力の増強をはかる。